SAMURAI REAL ESTATESAMURAI REAL ESTATE投資ガイド

ドバイ不動産を売却したときの税金|日本の譲渡所得・為替・申告の実務【2026年版】

鈴木 駿登
著者
鈴木 駿登
SAMURAI REAL ESTATE 代表(ドバイ在住・RERA登録ブローカー)
ドバイ不動産の基礎知識 | 2026.09.22
ドバイの不動産を売って利益が出たとき、UAE側では譲渡益に課税されません。一方で、日本に住んでいる方(日本の居住者)は、海外の不動産の売却益も日本で申告し、納税する必要があります。この記事では、税率の決まり方、見落としやすい「円換算」の落とし穴、必要な申告書類までを実務の順番で整理します。

結論:UAEでは非課税、日本では課税される

まず全体像です。ドバイ不動産を売却したときの税金は、UAE側と日本側で完全に分けて考えます。

項目UAE(ドバイ)日本(居住者の場合)
売却益への課税なし(個人の不動産譲渡益に対する所得税・譲渡所得税は課されません)あり。譲渡所得として申告分離課税
税率短期 39.63%/長期 20.315%
売却時の実費仲介手数料(一般に売買価格の2%+VAT)、デベロッパーのNOC発行費用、住宅ローンがある場合は抹消費用など
申告不要確定申告が必要(翌年2月16日〜3月15日)

つまり「ドバイは無税だから何もしなくていい」という理解は、日本に住んでいる方にとっては誤りです。日本の居住者は全世界の所得が課税対象になるため、ドバイで出た売却益も日本で申告します。

税率は「売った年の1月1日時点で5年を超えているか」で決まる

日本の譲渡所得は、保有期間によって税率が大きく変わります。

区分保有期間税率(所得税+復興特別所得税+住民税)
短期譲渡所得5年以下39.63%(所得税30.63%+住民税9%)
長期譲渡所得5年超20.315%(所得税15.315%+住民税5%)
注意:判定の基準日は「取得日から5年後」ではありません。売却した年の1月1日の時点で保有期間が5年を超えているかどうかで判定します。たとえば2021年6月に取得した物件を2026年8月に売却した場合、実際の保有期間は5年2か月ですが、2026年1月1日時点では4年7か月なので短期譲渡(39.63%)になります。数か月の違いで税率が約2倍変わるため、売却時期は必ず事前に確認してください。

譲渡所得の計算式

課税される金額は、売った金額そのものではありません。

譲渡所得 = 譲渡収入金額 −(取得費 + 譲渡費用)

取得費に入るもの

譲渡費用に入るもの

購入時の契約書・領収書・送金明細(MT103など)は、売却まで必ず保管してください。取得費を証明できないと、原則として譲渡収入の5%しか取得費として認められないため、納税額が跳ね上がります。ドバイの取引書類は英語なので、日本での申告時には主要部分の和訳を求められることがあります。

最大の落とし穴:円換算で「儲かっていないのに課税される」

ここが日本人オーナーがもっとも見落とすポイントです。ドバイの取引はAED(ディルハム)建てですが、日本の申告は円で行います。

AEDは米ドルにペッグされているため、円安が進むとAED建てで同額でも円建てでは値上がりしたことになります。なお、オフプランのように代金を数年にわたって分割で支払った場合、どの時点のレートで取得費を換算するかは個別の事情によって判断が分かれます。支払いの都度、日付・金額・その日のレートがわかる記録を残しておいてください。

数値例

時点AED為替(参考)円換算
購入1,500,000 AED1AED=30円45,000,000円
売却1,500,000 AED1AED=43円64,500,000円
差額0 AED+19,500,000円

AED建てでは1ディルハムも儲かっていないのに、円換算では約1,950万円の譲渡益が出ている計算になります(実際には取得費・譲渡費用を差し引きます)。この為替による利益も日本では課税対象です。逆に円高に振れた局面では、AED建てで利益が出ていても円換算では損失になることがあります。

「手元にAEDが残っているから、円に替えなければ課税されない」という理解も誤りです。円に両替したかどうかにかかわらず、譲渡の時点で円換算して所得を計算します。

外国税額控除は、基本的に使えない

海外で納めた税金を日本の税額から差し引く「外国税額控除」という制度があります。ただし、UAEには個人の不動産譲渡益に対する課税がないため、控除する外国税額がそもそも発生しません。二重課税にならない代わりに、日本の税金はそのまま満額かかる、と理解しておくのが正確です。

忘れやすい2つの調書

国外財産調書

その年の12月31日時点で、国外にある財産の合計額が5,000万円を超える居住者(非永住者を除く)は、翌年6月30日までに国外財産調書を提出する義務があります。ドバイの不動産はここに含まれます。売却した年だけでなく、保有している間も毎年の判定が必要です。

財産債務調書

所得金額が2,000万円超かつ一定の財産基準を満たす場合などに提出が必要になります。譲渡所得が大きく出た年は、この基準に引っかかることがあります。

調書の未提出・虚偽記載には加算税の加重やペナルティが定められています。また、UAEは日本とのCRS(共通報告基準)による金融口座情報の自動交換に参加しているため、「申告しなければわからない」という前提は成り立ちません。

「非居住者になってから売る」は慎重に

日本の非居住者になれば日本での譲渡所得課税を受けない、という発想は出てきますが、実務上は簡単ではありません。

実際にドバイへ移住したうえで数年間生活の本拠を置く、という実態があるかどうかが分かれ目です。売却前に必ず国際税務に強い税理士へ相談してください。

売却の実務フロー(ドバイ側)

  1. 仲介を選定し、価格とマーケティング方針を決める(当社は現地ブローカーとして売却のみのご依頼も承ります)
  2. 買主が決まったらMOU(Form F)を締結し、通常は売買価格の10%を保証小切手で預託
  3. デベロッパーからNOC(異議なし証明)を取得。未払いのサービスチャージがあれば清算
  4. 住宅ローンがある場合は抹消手続き
  5. DLDのトラスティーオフィスで名義移転。売却代金はマネージャーズチェックで受領するのが一般的
  6. 受領した資金を日本または他国へ送金。送金元の資金origin(出所)を説明できる書類を揃える
  7. 翌年、日本で確定申告

まとめ

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の税務アドバイスではありません。税額は保有形態(個人/法人)、他の所得、居住形態によって変わります。実際の申告にあたっては必ず税理士にご相談ください。当社は国際税務に対応する日本の税理士のご紹介も可能です。

よくある質問

Q. ドバイで不動産を売っても、本当にUAEでは税金がかからないのですか?

はい。UAEには個人の不動産譲渡益に対する所得税・譲渡所得税がありません。ただし売却時の仲介手数料(一般に2%+VAT)やデベロッパーのNOC発行費用といった実費はかかります。また、日本に住んでいる方は日本側で譲渡所得として課税されます。

Q. 保有期間5年の判定はいつを基準にしますか?

売却した年の1月1日時点で保有期間が5年を超えているかどうかで判定します。取得日から5年後の応当日ではありません。判定を1年ずらすだけで税率が39.63%から20.315%に変わるため、売却時期は事前に確認してください。

Q. AED建てでは利益が出ていないのに、日本で課税されることはありますか?

あります。取得費は購入代金を支払った日のTTM、譲渡収入は譲渡した日のTTMで円換算するため、円安が進んでいるとAED建てで同額でも円換算では利益が出ます。この為替による差額も課税対象です。

Q. 購入時の書類をなくしてしまいました。取得費はどうなりますか?

取得費を証明できない場合、原則として譲渡収入金額の5%を取得費とみなして計算します。実際の取得費より大幅に小さくなることが多く、納税額が大きく増えます。売買契約書(SPA)、DLDの登録証明、送金明細は必ず保管してください。

Q. 国外財産調書は売却した年だけ出せばよいですか?

いいえ。毎年12月31日時点で国外財産の合計が5,000万円を超えていれば、売却の有無にかかわらず翌年6月30日までに提出が必要です。ドバイの不動産は国外財産に含まれます。

Q. ドバイに移住してから売却すれば、日本の税金はかかりませんか?

居住者・非居住者の判定は住民票の有無だけでは決まらず、生活の本拠がどこにあるかを実質で判断します。出国と売却の時期が近い場合は否認されるリスクもあります。移住を前提に検討される場合は、売却前に国際税務に強い税理士へご相談ください。

Q. 売却だけをお願いすることはできますか?

可能です。当社はドバイのRERA登録ブローカーとして、売却のみのご依頼も承っています。価格査定、買主の募集、NOC取得、DLDでの名義移転、売却代金の受領と送金まで日本語で対応します。

売却を検討されている方へ

査定、買主の募集、NOC取得、DLDでの名義移転、売却代金の受領と海外送金まで、ドバイ側の実務を日本語で一括してお引き受けします。売却益にかかる日本の税金については、国際税務に対応する税理士のご紹介も可能です。

ドバイ不動産投資の完全ガイドを読む →売却のご相談はこちら →
ドバイ・中東不動産のご相談は無料です
LINEで相談お問い合わせ
関連記事
ドバイの税金ガイド|所得税ゼロ・法人税9%・相続の実務【2026年版】ドバイ不動産 賃貸・運用・売却ガイド|入居者募集から出口戦略まで日本からドバイへ送金するならWise|上限1.5億円・手数料・日数【2026年版】ドバイの銀行口座開設|非居住者でも作れる?条件・送金方法【2026年版】
ドバイ不動産・海外資産の実務ガイドを無料配布中
メルマガまたはLINEで受け取れます(内容は同じなので、お好きな方をご登録ください)。
メルマガで受け取るLINEで受け取る個別相談を申し込む
コメント