ドバイは、移住・ビザ・法人設立・税制の面でも、世界中から人と資金を集めています。本記事では、不動産を持つ(これから持つ)方が知っておきたい4つ——①移住とビザ ②法人設立 ③税金の論点 ④相続・遺言——を、現地の実務にそって整理しました。いずれも制度の変更が速い分野です。本記事は全体像をつかむためのもので、実行前には必ず最新情報と専門家の確認をおすすめします。
1. 移住とビザ
主なビザは次のとおりです。
- ゴールデンビザ(10年):不動産で取得する場合、合計評価額約200万AED以上が目安。有効期間10年・更新可で、期限切れや入国義務を実質気にせず保有できます。実務上はオフプランやローン付きの物件でも対象になり得ます(要件は2026年に緩和されており、頭金などの条件は最新を要確認)。
- 複数物件の合算も可能:1件で200万AEDに届かなくても、複数の物件を合わせて200万AED以上になれば対象になり得ます。ただしその場合、合算した物件すべてがビザに紐づきます(=どれかを売却するときはビザの保留・キャンセルなどの手当てが必要)。合算は「同じ首長国内」が原則で、別の首長国の物件をドバイの申請に合算することはできません。
- 2年 不動産投資家ビザ:より手軽なresidency。維持には、おおむね半年〜1年に一度はUAEへの入国が必要です(2026年に最低物件評価額の要件が緩和されています)。
- リタイアメントビザ(5年):55歳以上が対象。財政要件は「不動産100万AED」「貯蓄100万AED」「その組み合わせ」「ドバイでは年収24万AED」などのいずれか、とされています(健康保険が必要)。
ゴールデンビザは、取得するカテゴリーによって有効期間が5年か10年かに分かれます。不動産を入り口にする方が多いですが、ほかにもさまざまな道があります。主に「10年」のカテゴリーには、不動産投資家(合計評価額 約200万AED以上)、公共投資の投資家、特殊技能(医師・科学者・発明家、文化・芸術のクリエイター、経営幹部、アスリート、博士号保持者、AI・データ・遺伝子工学などの専門家)、人道分野の貢献者、フロントラインの貢献者、優秀な大学生・卒業生などがあります。主に「5年」のカテゴリーには、起業家(革新的・技術的なプロジェクト、おおむね50万AED以上)や優秀な高校生があります。不動産で取得する場合は10年が基本、と覚えておくと分かりやすいです。
家族・対象範囲:いずれのビザも家族(配偶者・子)も対象にできます。さらにゴールデンビザは、家族以外(ドライバーやメイドなど)にもビザを付与できるのが特長です。
不動産で取るゴールデンビザ(実務)
- 必要書類はとてもシンプル:タイトルディード(権利書)または仮タイトルディード(オクード)と、パスポートがあれば基本的にOKです(不動産以外の資産で取る場合は、収入証明など書類が増えます)。
- 費用の目安:実費で約8,000〜10,000AED。最低限の保険を含み、年齢で保険料が変わるほか政府費用も前後します。当社サポートは4,000AEDで、当社で不動産をご購入の方は今だけキャンペーンでサポート無料です。
- 取得までの期間:ビザだけなら最短1週間。銀行口座まで含めて最短2週間(3週間ほどで9割以上が完了。祝日やトラブルがあると延びる可能性もあります)。
- 流れ:来訪前に仮申請(顔写真・権利書など)→ ドバイ来訪 → 健康診断 → 約1日でビザ発行 → エミレーツID用に指紋・サイン登録 → 2〜3日でエミレーツID → SIMカード(SMS認証用)→ 銀行口座開設。
売却・買い替え時の注意(紐付け):不動産で取得したゴールデンビザは、その物件に紐付いています。そのため、物件を売るには、先にビザを「保留」または「キャンセル」してからでないと売却できません。同等以上の物件にすぐ買い替える場合は約1ヶ月の保留期間があり、その間に新しい物件を購入・紐付けすればキャンセルせずに済みます(保留には申請が必要)。ただし「売って1ヶ月以内に買い替え」はスケジュールがタイトなので、入念な準備が必要です。なお、いまの物件を保有したまま新たに購入し、ビザの紐づけを新しい物件へ切り替えるだけなら、特に問題ありません。
2. 法人設立
フリーゾーンとメインランドの違い:フリーゾーンは、UAEの国外向けビジネス(オンライン等)や、UAE国内での事業がない方に向きます(エリア・業態・ライセンス次第ではUAE国内向けのB2Cができる場合もあります)。設立費用・維持費が安く手続きが早いのが利点で、「とりあえずビザが欲しい」方がフリーゾーンに会社を作るケースも多いです。メインランドは、UAE国内で本格的にビジネスをしたい方向けで、応用が利き、できることが広いのが特長です。
費用とサポート:フリーゾーンは当社のサポート費用が無料です。ドバイで知名度の高いMeydan Free Zone(メイダン)を使い、約12,500AEDから設立可能です。フリーゾーンに直接作っても当社経由でも費用は同じなので、日本語でサポートできる当社経由が安心です。メインランドは、最低でも実費で約2〜3万AEDに、サポート費用が加わるのが目安です。
流れ・できること:設立だけならすべてオンラインで完結し、ドバイに来る必要はありません。設立後、その法人からビザを発行する場合や銀行口座を開設する場合には、ドバイ来訪が必要になります。法人でビザ取得(2年の投資家ビザ)も、銀行口座開設もできます。注意点:最初に「どのライセンスにするか」「フリーゾーンかメインランドか」をしっかり決めることが大切で、後から変更するのは簡単ではありません。会計と税務申告は必須で、税金がかからない場合でも申告をしないとペナルティの対象になり得ます。
3. 税金の「確認すべき論点」
ドバイ(UAE)は税負担が軽いことで知られますが、「ゼロ」ではありません。以下は一般的な論点で、最終的な判断は必ず税の専門家にご確認ください。
- 個人所得税:0%。給与・役員報酬などへの個人課税は基本的にありません(完全に非課税)。
- VAT(付加価値税):標準5%。
- 法人税:課税所得37.5万AED以下は0%、それを超える部分に9%(恒久的な仕組み)。
- スモールビジネス・リリーフ:年間売上が300万AED以下の事業者は、課税所得を0%として扱う選択ができます。ただしこれは2026年12月31日までに終了する期間が対象で、延長は発表されていません(2027年以降は通常の「37.5万AED超9%」へ)。
- 申告義務:税金がかからない場合でも、申告は必要です。
参考までに、各国の標準的な法人税率は、日本 約30%、米国 約21%、シンガポール 17%、香港 16.5%、アイルランド 12.5% などです。UAEの9%は、富裕層に人気の国々と比べても世界的に見て非常に低い水準です。
日本にお住まいの方への注意(日本側の税金)
ドバイ(UAE)側の税が軽くても、日本との関係次第で日本側の税金がかかる場合があります。日本からUAEへ移住する方が特に押さえておきたい論点を整理します(あくまで概要です。必ず日本の税理士にご確認ください)。
- 「居住者か非居住者か」で大きく変わります:日本の所得税では、「日本国内に住所がある」「継続して1年以上、日本に居所がある」などに当てはまると居住者として扱われます。判定は住民票の有無だけでなく、生活の実態から総合的に判断されます。居住者のままだと、UAEで得た所得も含めて日本で課税対象になります。UAEに生活の本拠を移し、非居住者になることが出発点です。
- 非居住者になっても、日本国内で生じる所得には日本の税金がかかります:日本国内の不動産の家賃収入や売却益、日本企業からの給与など、日本を源泉とする所得は非居住者でも課税対象です(一方、UAEなど日本国外で得た所得には日本の所得税はかかりません)。
- 住民税は「移住のタイミング」で決まります:住民税はその年の1月1日に住んでいた自治体に納めます。1月1日より前(前年中)に出国・転出していれば、その年の住民税はかかりません。海外へ移る際は、住民票について国外転出届を提出します。
- 出国税(国外転出時課税):時価1億円以上の有価証券などを持つ人が、出国前10年のうち5年超、日本に住んでいた場合、含み益を売却したものとみなして課税されます(税率15.315%)。納税猶予・減額措置もありますが、納税管理人を立てていないと猶予が使えず、出国時までの申告が必要です。
- 非居住者は、使える所得控除が限られます:居住者なら使える各種控除のうち、非居住者が使えるのは原則 基礎控除・雑損控除・寄附金控除の3つだけです。状況によっては移住前より日本での納税額が上がることもあります。
- 相続・贈与:「被相続人と相続人(贈与者と受贈者)がともに10年超、海外に居住」かつ「対象財産がすべて海外」——この両方を満たさない限り、日本で相続税・贈与税がかかり得ます。
- 手続きと申告漏れ:海外移住後は本人がe-Taxで確定申告できません。日本国内に不動産がある、相続・贈与が発生した、国内資産を売却した、といった場合は納税管理人(日本在住の親族や税理士など)を立てて手続きします。申告を忘れたり内容に誤りがあると、延滞税・過少申告加算税・無申告加算税・重加算税などのペナルティの対象になります。
- UAE側について:UAEには所得税・相続税がないため、UAEとの間で二重課税は基本的に生じません。日本側で残る課税・申告だけを、もれなく押さえておけば十分です。
4. ドバイならではの「お金」の環境(参考)
ドバイ(UAE)には、不動産以外にも資産を置く・育てる環境が整っています(数値・条件は変動します。最新は各社・専門家にご確認ください)。
- 通貨の安定(USDペッグ):UAEディルハム(AED)は米ドルに固定(ペッグ)されており、対ドルの為替が安定しています。
- 銀行預金の金利:定期預金などで、目安として年4〜6%程度の金利が付くことがあります(銀行・通貨・時期で変動。最新は各行で要確認)。日本の預金金利と比べると大きな差です。
- 証券口座・UAE株:ビザを取得すると証券口座も開設でき、UAEの株式を購入できます。たとえば、電気・水道のDEWA、有料道路のSalik、地域冷房のEmpower、駐車場運営などの政府系で安定した企業や、大手デベロッパーのEmaar(ドバイ)・Aldar(アブダビ)などの株も対象です。
- 居住者の税:ドバイ居住者は、個人の所得(給与・役員報酬を含む)への個人所得税が基本的に0%です。株式の配当・譲渡益などの個人課税も基本的にない環境です(取り扱いはケースにより異なるため、税の専門家にご確認ください)。
5. 相続・遺言(ドバイの遺言書)
遺言がないと、どうなるか:UAEでは、登録された遺言がないと、相続の手続きが非常に長く・複雑になり、どのように相続されるかが不透明になりがちです。非ムスリム(外国人)にはイスラムのシャリア法が適用される恐れもあるとされ、実務上は不安が残ります。これをはっきりさせるために、遺言書の登録が要になります。
外国人は「DIFC Wills」が安心:DIFC(ドバイ国際金融センター)は、英国などの「コモンロー(英米法)」にならった独立した法体系と裁判所(DIFC Courts)を持つ特別区です。DIFC Willsは、その「遺言の自由」——自分の意思で、誰に・何を遺すかを決められるという原則にもとづく、非ムスリム専用の遺言・検認(probate)の登録制度です。これにより、初期設定で適用され得るシャリアの法定相続を避け、ご自身の希望どおりに資産を遺せます(ルールは英国の法を参考に整備されています)。
- 対象資産:UAE(7首長国)の不動産を対象にでき、さらに銀行口座などUAE国内の資産全般も対象に含められます。2025年の改正(Law 2 of 2025)で、DIFCは非ムスリムの遺言の執行について、資産がDIFCの内外いずれにあっても管轄を持つとされています。
- 後見人(ガーディアン)の指定:未成年のお子さまの後見人を、遺言の中で指定することもできます。
- 遺言のタイプ:不動産用・金融資産用・事業用・後見用など、目的に応じたタイプがあります。
費用・流れ・効力:費用の目安は(前後しますが)弁護士費用 約7,000AED+DIFCへの登録料 約10,000AEDで、遺言は弁護士を使う方が安心です。流れは、①弁護士と面談(オンライン可)でヒアリング → ②弁護士と一緒に内容(ドラフト)を作成 → ③弁護士がDIFCに登録 → ④登録時、DIFCとのオンライン面談(ビデオ通話)で簡単な確認 → ⑤見届け人(立会人)が必要、という流れです。効力は本人(オーナー)が亡くなったときに発生します。当社は弁護士との通訳やアレンジを全般的にサポートします。なお、DIFCとのオンライン面談にはご本人の出席が必要で代理出席はできませんが、見届け人はドバイに信頼できる方がいればその方にお願いでき、当社が見届け人として参加することもあります。
生前贈与(家族への名義移転):UAEには贈与税がありません。ただし、ドバイの不動産を家族へ生前贈与(Hiba=ヒバ)する場合、DLDの移転手数料 約0.125%(最低2,000AED)+権利書発行料 250AED程度がかかります(通常売買の4%より大幅に低い水準)。対象は第一親等(親・子・配偶者)で、兄弟姉妹間の贈与は対象外です。なお、日本側の贈与税は別途検討が必要です。
法的根拠(参考):非ムスリムの相続・遺言について、近年いくつかの法整備が進んでいます。Dubai Law No.15 of 2017(ドバイにおける非ムスリムの遺産の管理と遺言の執行を定めた法律で、DIFCの遺言・検認レジストリの土台)、Federal Decree-Law No.41 of 2022(民事身分法。非ムスリムにシャリアではなく民事のルールを適用できる枠組みを定めた連邦法)、Dubai Law No.2 of 2025(非ムスリムの遺言の執行について、資産がDIFCの内外いずれにあってもDIFCが管轄を持つことを明確化)があります。いずれも概要で、条文の解釈・適用は個別事情で異なります。最新の内容は弁護士など専門家に必ずご確認ください。
まとめ
- ビザ:ゴールデン(10年・約200万AED)/2年投資家/リタイア(5年)。家族も対象、ゴールデンは使用人にも付与可。不動産で取るゴールデンは書類がシンプル。売却時はビザの保留・キャンセルが必要。可否は政府判断。
- 法人:国外向け・手軽さ=フリーゾーン(Meydan 約12,500AED〜・当社サポート無料)/本格的な国内事業=メインランド。設立はオンライン、ビザ・口座は来訪。会計と申告は必須。
- 税金:個人所得税0%・VAT5%・法人税は37.5万AED超で9%。年商300万AED以下はスモールビジネス・リリーフで0%選択可(2026年末まで)。申告は必須。
- 相続:遺言がないと手続きが長期化・不透明。外国人はDIFC Willsが安心(弁護士+登録で約1.7万AED〜)。
免責事項:本記事は、創業者の現地での実務経験と公的情報・公開資料にもとづく一般的な情報提供で、税務・法務・移住に関する助言ではなく、特定の結果を保証するものでもありません。ビザ・税制・法人・相続の制度は変更が速く、ビザの可否は最終的にUAE政府が判断するため100%の取得を保証するものではありません。円換算は1AED=43円で計算しており、為替で変動します。最新かつ正確な内容と個別の判断は、各分野の専門家および公式情報で必ずご確認ください。記載内容は2026年6月時点のものです。
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