まず前提:UAEの在留資格はすべて「期限つきの更新制」
UAEの居住ビザは、雇用・投資・不動産所有・法人設立などの「スポンサーとなる根拠」があって初めて発給されます。根拠がなくなれば更新できません。無期限に滞在できる資格は用意されていない、というのが制度の基本です。
ただし、実務上は「10年のゴールデンビザを更新し続ける」ことで、永住に近い安定性を得ることは可能です。特にゴールデンビザは、後述のとおり長期間UAEを離れても失効しない点で、他のビザと決定的に違います。
永住権に近い選択肢を比べる
| ビザ | 期間 | 主な条件 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| ゴールデンビザ(不動産) | 10年・更新可 | UAE国内の不動産で200万AED以上(ドバイではDLDの認定評価額ベース) | 長期の拠点を作りたい方、家族を帯同したい方 |
| ブルービザ | 10年・更新可 | 環境・気候・再生可能エネルギー分野での顕著な貢献、または同分野への200万AED以上の投資など | 環境分野の専門家・投資家 |
| 不動産オーナービザ | 2年・更新可 | ドバイの不動産所有(2026年に最低価格の要件が撤廃) | まず居住実績を作りたい方、予算を抑えたい方 |
| 投資家・パートナービザ | 2〜3年・更新可 | UAEでの法人設立と出資 | 現地で事業を行う方 |
| リモートワークビザ | 1年・更新可 | UAE国外の雇用主との雇用関係と一定の月収 | 海外の仕事を続けながら住む方 |
| リタイアメントビザ | 5年・更新可 | 55歳以上で、不動産・預金・収入のいずれかの基準を満たすこと | リタイア後の移住 |
要件や運用は改定されることがあります。申請時点の最新条件は必ず確認してください。
2026年に大きく変わった「2年の不動産オーナービザ」
2026年に、ドバイの2年オーナービザについて最低物件価格75万AEDという要件が撤廃されました(単独所有の場合)。あわせて共有名義の扱いも緩和され、共有の場合は各名義人の持分が40万AED以上であることが目安とされています(従来は各名義人が75万AEDを満たす必要がありました)。住宅ローン付きの物件についても、従来より柔軟に扱われるようになっています。
ゴールデンビザ(不動産200万AED)の実務ポイント
200万AEDは「DLDの評価額」で見る
判定の基準になるのは購入時の表示価格ではなく、DLD(ドバイ土地局)が認定する物件の評価額です。購入後に評価額が下がると、購入価格が200万AEDを超えていても要件を満たさなくなることがあります。
住宅ローンを利用している物件も対象になります。ドバイでは、ローン残高があってもDLDの評価額が200万AED以上であれば申請できるのが現在の扱いで、自己資金の比率について最低ラインは設けられていません。その代わり、融資先の銀行から次の3点を明記したNOC(異議なし証明)を取得する必要があります。
- 抵当権付き物件について居住ビザを発給することに異議がない旨
- 借入人がこれまでに支払った総額
- ローンの残高
記載が欠けていたり曖昧だったりすると差し戻されるため、銀行に依頼する段階で様式を確認してください。なお、この扱いは首長国によって異なり、アブダビでは支払済みの持分をベースに判定される運用が見られます。申請前に最新の要件をご確認ください。
オフプラン物件も対象になり得る
RERA登録済みのデベロッパーの物件で、Oqood(オフプラン登録)がされていることが前提です。この場合も、支払済みの金額が200万AEDに達している必要があります。
複数物件の合算
同一名義で登録された複数の物件を合算して200万AEDに達する形も認められます。いずれもフリーホールド(外国人所有可)エリアの物件である必要があります。
家族の帯同
配偶者、子(年齢制限なし)、両親を帯同でき、家事使用人のスポンサーも可能です。家族の在留期間は本人のビザ期間に連動します。
更新時に物件を持っていないと更新できない
物件を売却しても、その瞬間に有効なビザが取り消されるわけではありませんが、更新の時点で要件を満たす不動産を保有していなければ更新できません。出口戦略とビザの維持は、セットで設計する必要があります。
ゴールデンビザが「永住権に近い」と言われる理由
通常のUAE居住ビザは、一定期間(一般に連続6か月)UAE国外に滞在すると失効します。ゴールデンビザにはこの制限が適用されないため、日本を生活の中心にしたまま、UAEの居住資格だけを維持することが可能です。これが「永住権に近い」と表現される最大の理由です。
UAEの国籍(市民権)は取得できるのか
2021年の法改正で、投資家・医師・科学者・技術者・芸術家・知識人とその家族について、指名(nomination)による帰化の道が設けられました。対象者は二重国籍も認められます。ただしこれは当局や王室関係機関からの指名にもとづく制度で、本人が申請して取得できるルートではありません。不動産投資によって国籍が得られるという制度は存在しないため、その旨をうたう勧誘には注意してください。
どのルートを選ぶべきか
- 予算200万AED以上/長期の拠点を作りたい → ゴールデンビザ(不動産)。家族帯同と長期不在に強く、もっとも安定します
- まず居住実績をつくりたい/予算を抑えたい → 2年の不動産オーナービザ。2026年の改定で入りやすくなりました
- 現地で事業を行う → 法人設立による投資家・パートナービザ。法人税は課税所得37.5万AEDまで0%、超過分9%
- 海外の仕事を続けながら住む → リモートワークビザ。不動産の購入は不要です
まとめ
- UAEに「永住権」という制度はなく、最長は10年のゴールデンビザ(更新制)
- 不動産ルートのゴールデンビザは支払済み持分で200万AED以上。オフプラン・ローン付きも条件つきで対象
- 2年のオーナービザは2026年に最低価格要件が撤廃(単独所有の場合。共有は1人40万AED以上が目安)
- ゴールデンビザは長期の国外滞在でも失効しないため、実務上もっとも永住権に近い
- 国籍は指名制で、投資で取得できる制度はない
よくある質問
UAEには日本やアメリカのような永住権(Permanent Residency)の制度はありません。制度上の最長はゴールデンビザの10年で、更新を繰り返して長期滞在する形になります。
UAE国内の不動産で200万AED以上です。ドバイでは判定の基準が購入時の表示価格ではなくDLD(ドバイ土地局)の認定評価額で、ドバイでは住宅ローン付きの物件も対象で、残高があってもDLDの評価額が200万AED以上であれば申請できます(融資先の銀行が発行するNOCが必要です)。同一名義であれば複数物件の合算も可能です。
RERA登録済みデベロッパーの物件でOqood登録がされていることが前提となり、支払済みの金額が200万AEDに達していれば対象になり得ます。引渡し前でも条件を満たせば申請できます。
2026年に、単独所有の場合の最低物件価格75万AEDという要件が撤廃され、物件価格にかかわらず対象となりました。共有名義の場合は、各名義人の持分が40万AED以上であることが目安とされています。
売却した瞬間に有効なビザが取り消されるわけではありませんが、更新時に要件を満たす不動産を保有していなければ更新できません。売却を検討する際は、ビザの更新時期とあわせて計画してください。
いいえ。UAEの居住ビザを持つことと、日本の税務上の非居住者になることは別です。日本の居住者判定は生活の本拠がどこにあるかを実質で判断するため、ビザ取得だけで課税関係は変わりません。
2021年の法改正で投資家・医師・科学者などを対象とした指名による帰化制度が設けられましたが、本人が申請して取得できるルートではありません。不動産投資によって国籍が得られる制度は存在しません。

