ドバイ不動産で失敗してしまう人と、納得して買える人の差は、多くの場合「買う前の順番」にあります。おすすめの順番は、①目的をはっきりさせる → ②物件を見極める → ③お金(利回り)を実質で読む、の3ステップです。きらびやかな物件資料から入るのではなく、まず自分の目的を整理する。これだけで、避けられる失敗がぐっと減ります。本記事では、この3ステップを順にお伝えします。
ステップ1:まず「投資目的」をはっきりさせる
「どんな物件が欲しいか」より先に決めるべきは、「何のために買うのか」です。目的によって、合うエリア・間取り・オフプランか完成物件か、すべてが変わるからです。私たちのご相談では、まずお客様自身を深く理解することから始めます。テキストのやり取りだけだと認識がずれやすいので、ドバイにいらっしゃる方とは対面で、難しい方ともZoomで顔を見てお話しします。物件のご希望そのものより、ライフスタイルや今後の人生プランまで伺い、その上で合う物件を一緒に絞り込んでいきます。
「目的が曖昧なまま、とりあえず買う」は避ける
いちばん危ないのが、目的が曖昧なまま「とりあえず安いから」で買ってしまうことです。たとえば「安いから内陸の小さなスタジオを買う」。これは、実はかみ合っていないことが多いパターンです。スタジオのような小さめの住戸は、モールや人の集まる場所の近くと相性が良く、内陸は逆に、家族が「価格を抑えて広く住みたい」と考える層が多いため、2〜3ベッドルームのような広めの間取りのほうが需要に合います。目的とエリアと間取りが噛み合っているか——ここを買う前に整理してください。
ゴールデンビザが目的なら、要件は「今」で考える
「ゴールデンビザ(10年の長期居住ビザ)を取りたい」が主目的の方は、特に注意してください。ゴールデンビザは、一定額(200万AED)以上の不動産が申請の目安になります。一番避けたいのが、「将来値上がりするのを見越して、180万〜190万AEDの物件を買い、200万AEDに上がってから申請しよう」という計画です。そこまで価格が上がるかは誰にも分かりませんし、世界情勢でも変わります。さらに、ビザの要件そのものも、制度なので将来変わる可能性があります。ビザ取得が第一の目的なら、値上がりを当てにせず、今の時点で要件を満たす物件を選び、早めに取得するほうが堅実です。
プライマリーとセカンダリー ― まず「2つの分け方」を知る
ドバイの物件は、最初に「誰から買うか」で2つに分かれます。
- プライマリー:デベロッパー(開発会社)から直接買う、新規販売。
- セカンダリー:すでに所有者がいる物件を、その所有者から買う(再販・転売)。
これとは別に、物件の状態という、もう一つの軸があります。
- オフプラン:完成前(建設中)の物件。
- 完成物件:すでに完成している物件。
ここがドバイ特有で分かりづらいのですが、この2つは別の話です。だから、組み合わせがあります(プライマリー×オフプラン、セカンダリー×オフプラン、セカンダリー×完成物件など)。「プライマリーかセカンダリーか(誰から買うか)」と「オフプランか完成物件か(建物ができているか)」は、分けて考えてください。そして、費用や手続きの違いは、主にプライマリーかセカンダリーかで決まります。
プライマリー(デベロッパー直販)の良いところ
- 購入プロセスがシンプル。カード払いに対応し、仮想通貨でも支払いやすいなど、決済の柔軟性があります。
- 分割払いができる物件がほとんどで、支払いの負担を分散しやすいです。なかには、完成後も分割払いが続くタイプもあります。
- 購入者に仲介手数料がかかりません。
- 頭金20%程度から購入でき、ゴールデンビザ(200万AED)も目指しやすいです。
- 非居住者(日本にお住まいの方)にとっては、圧倒的に買いやすいのが実情です。
セカンダリー(再販)の良いところ・注意点
- 完成物件なら、すぐに賃貸運用を始められます。実物を見てから買えるのも安心材料です。
- ただし、手続きの工程が多めです。たとえば、デベロッパーからNOC(無異議証明)を取得し、DLD公認のトラスティオフィスに売主・買主・双方のエージェントが集まって名義を移転(決済)します。支払いは銀行発行のマネージャーズチェックが基本で、その発行には現地の銀行口座が必要です(なければ第三者エスクローで追加手数料)。
- 支払いは基本的に一括(現金)が中心です。
- 仲介手数料が2%程度かかります。
大前提として、私たちは「お客様一人ひとりに合った物件」をご提案します。プライマリーかセカンダリーかを最初から決めつけることはありません。そのうえで率直にお伝えすると、日本にお住まいの方(非居住者)にとっては、プライマリー(とくにオフプラン)のほうが手続き・支払い・ビザ取得の面で簡単です。そのため、まずはそこを軸にご検討いただくケースが多くなります。もちろんセカンダリーをご希望の方にも、しっかり対応します。とくにビザを取得して現地の銀行口座を開いていれば、セカンダリーの購入はぐっと簡単になります(それでも工程は多めです)。
ステップ2:物件を見極める(現地チェック)
物件選びは、突き詰めると立地 × デベロッパーの実績で大半が決まります。デベロッパーは過去の実績を見て選びます。私たちは基本的に、規模が大きく実績のあるデベロッパーを中心におすすめしています(政府系はとくに安心材料になります)。規模が大きくなくても、デザイン性や実績で信頼できる会社はあります。私たちは賃貸の運用も手がけているので、各社の完成物件を数多く見てきました。そのため「どんな層・国籍の入居者がつくか」「賃貸の需要はどうか」「修繕がどれくらい必要か」「経年でどれくらい劣化しやすいか」といった、資料に出ない部分の見当がつきます。
現地に行かないと分からないこと
- 移動時間は、資料の数字を鵜呑みにしない。 パンフレットには「空港まで車で10分」などと書かれていますが、実際はほとんどのケースでそれ以上かかります。さらにドバイは渋滞の影響が大きく、同じ区間でも渋滞時と空いている時で到達時間が大きく変わります。
- 排水。 ドバイでも雨が降ることがあり、その際にすぐ水が溜まる場所があります。排水がしっかりしているかは、現地で見て初めて分かることのひとつです。
- 騒音。 中〜低層階では、すぐ前に大きな道路や高速がある立地だと車の音が気になる場合があります(高層階では影響は小さくなります)。
同じ物件でも「ビュー(眺望)」で価値が変わる
見落とされがちですが、ビュー(眺望)は価格・賃料に直結します。同じ建物・同じ間取りでも、良いビューが見える側と、その反対側(何も見えない側)とでは、価格も賃料も変わってきます。一般に価値が高いとされるのは、水や緑など「抜けのある」眺望です。たとえば——
- シービュー/ビーチフロント、パーム・ジュメイラがきれいに見える眺望
- 緑のビュー(公園など)やゴルフコースビュー
- ブルジュ・ハリファビューなどのランドマーク眺望
また、近くに公園があるかといった環境も、住み心地と需要の両面でプラスに働きます。物件を見るときは、間取りや広さだけでなく「どの方角の、どんなビューの部屋か」まで必ず確認してください。
間取りは「運用方法 × エリア」で考える
近年のドバイは、価格上昇に伴って間取りが小さくなる傾向もあります。どの間取り(スタジオ/1〜3ベッド)が良いかは、どう運用するかとどのエリアかで決まります。内陸ほど広めの間取りの需要が高く、モール・駅・オフィスの近くは小さめの住戸と相性が良い、という傾向があります。ただし「近い」と言っても、徒歩5分以内でなければ意味がありません。ドバイは非常に暑く、夏に5分以上歩くのはかなりこたえるからです。地図上の距離ではなく、実際に歩ける距離かを見てください(なお車社会のため、駅の有無そのものは家族層にはあまり影響しません)。
自分で住むなら「あなたの優先順位」で
賃貸で運用する物件は、入居者の需要や利回りで見ます。一方、自分で住む物件は、何を優先するかが人によって大きく違います。眺望か、広さか、通勤か、静けさか——あなた自身の優先順位を整理しておくと、選びやすくなります。賃貸運用と自住では、見るべき基準が変わると考えてください。
家具付きは「契約書」で確認
家具付き(furnished)として売り出される物件では、何がどこまで付くのかを契約書で必ず確認してください。テレビやカーテンなど、「付いている」と聞いていたのに実際には付いていなかった、ということが起こり得ます。実は私自身も、デベロッパーの説明を信じて「食洗機が付く」とお伝えしたら付いてこなかった、という経験があります(その分は私が負担しました)。以来、口頭の説明を鵜呑みにせず、必ず裏を取るようにしています。
ステップ3:利回りは「実質」で読む
「利回り○%」という数字を見せられたら、その数字をそのまま手取りだと思わないでください。実際には、そこからいくつかの費用が引かれます。
表面利回りから引かれる主な費用
- サービスチャージ(管理費)。 物件ごとに異なり、1平方フィートあたりの年額で決まります。金額は変動します。
- 管理委託の手数料。 物件の管理を委託する場合、目安として年間賃料の約5%程度。
- 空室時の固定費。 入居者がいれば光熱費などは入居者が負担しますが、空室の間はオーナー側に最低限の固定費がかかります(エアコンのEmpower、Dubai Municipalityの費用など)。
これらを引くと、手元に残る実質の利回りは、表面の数字よりおおむね2%程度下がるイメージで見ておくと安全です。
「利回りが高い=良い」ではない
利回りの高さだけで選ぶのは危険です。資産価値の高い一等地はむしろ利回りが低めになりやすく、内陸は利回りが高めでも、物件そのものの価値は上がりにくい傾向があります。利回りと資産価値のバランスで考えてください。
オフプランの利回りは「今の市場」で保守的に
オフプラン(完成前)の物件は、完成が数年先になるため、「今の市場の利回り」をそのまま当てにするのは適切ではありません。数年後の市場は変わっていて、その時点の利回りを正確に予想するのは困難です。長期的には賃貸相場が上がってきた傾向はありますが、それは保証ではなく、下振れすることもあります。だからこそ、数年後に完成する物件でも、一度は「今の市場」で利回りを計算し、費用は多めに(利回りは低めに)見積もっておくことをおすすめします。
まとめ:買う前のチェックリスト
目的:何のために買うのか(自住/賃貸運用/資産分散/ビザ/家族)をはっきりさせたか。目的とエリア・間取りが噛み合っているか。ビザが目的なら、値上がり前提にせず「今」要件を満たす物件か。
物件:立地とデベロッパーの実績を確認したか。移動時間・渋滞・排水・騒音を、資料任せにせず現地目線で確認したか。間取りが「運用方法 × エリア」に合っているか(自住なら自分の優先順位)。家具付きの内容を契約書で確認したか。
お金(利回り):表面利回りから費用(サービスチャージ・管理費・空室時固定費)を引いた実質で見たか。利回りの高さだけで選んでいないか。オフプランは今の市場で保守的に計算したか。
ドバイには、目的に合えば十分に検討に値する物件があります。大切なのは、買う前に「目的 → 物件 → お金」を順に整理することです。サムライリアルエステートでは、各ステップを現地の目線・日本語でサポートします。具体的に検討している物件がある方、これから始める方は、よろしければ無料の個別相談で、あなたの目的や候補物件を一緒に確認させてください。
本記事は、鈴木駿登が現地ドバイ/UAEでの実務を通じて見聞きした事実と、その経験にもとづく見解をまとめたものです。投資の成果や将来の価格・利回りを保証・約束するものではありません。不動産・税務・法務の最終的な判断は、必ずご自身と各分野の専門家の確認のうえで行ってください。記載内容は2026年6月時点のものです。
